親権者の監督責任(自転車事故)
神戸地方裁判所平成二三年(ワ)第二五七二号
平成25年7月4日民事第一部判決
Fは、本件事故当時一一歳の小学生であったから、未だ責任能力がなかったといえ、本件事故により原告Aに生じた損害については、Fの唯一の親権者で、Fと同居してその監護に当たり、監督義務を負っていた被告が、民法七一四条一項により賠償責任を負うものといえる。
被告は、Fに対し、日常的に自転車の走行方法について指導するなど監督義務を果たしていた旨主張するが、上記認定のFの加害行為及び注意義務違反の内容・程度、また、被告は、Fに対してヘルメットの着用も指導していたと言いながら(被告本人)、本件事故当時はFがこれを忘れて来ていることなどに照らすと、被告による指導や注意が奏功していなかったこと、すなわち、被告がFに対して自転車の運転に関する十分な指導や注意をしていたとはいえず、監督義務を果たしていなかったことは明らかであるといえ、被告の主張は採用できない。