交通死亡事故発生件数は、全体としては減少傾向で推移していますが,65歳以上の高齢者の死亡事故が増えています。交通事故によって家族を失った苦痛は図り知れません。しかし,さらに不慣れな保険会社との交渉や手続きで、多くの被害者家族が苦しんでいます。交渉相手となる加害者側保険会社は交通事故の専門家であり、裁判基準より低いのが通常の社内基準で示談を求め、専門知識と交渉技術を持って臨んできます。しかも,死亡事故の場合は,賠償額が大きくなるだけに,保険会社の交渉も厳しいものとなります。できるかぎり精神的負担を少なくするためにも,弁護士にご相談ください。
死亡事故の場合請求できる損害項目
交通死亡事故の損害賠償請求事件において、被害者の相続人が請求できる損害については、主に、以下のようなものがあります。
財産損害 |
積極損害 |
葬儀関係費用 |
消極損害 |
死亡逸失利益 |
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精神的損害 |
死亡慰謝料 |
葬儀費用、仏壇・墓碑の購入費用
死亡事故の際にかかる火葬・埋葬費用、読経・法名料、御布施・供物料、葬儀業者の費用、花代、弔問客に提供する食事代、遺族自身の葬儀参列のための交通費等の葬儀費用に関しては、実務上、定額化が図られており、130~170万円の範囲(「赤い本」では原則150万円)であれば実際に支出した額の賠償が認められています。
もっとも、香典返しについては、香典という贈与を受けたものに対するお返しであって、損害ではないという考え方から、請求することができません。
墓石建立費や仏壇購入費については、常に認められるわけではなく、被害者の年齢、境遇、家族構成、社会的地位、職業などを総合的に考慮して、社会的に相当な範囲で損害と認められることがあります。
死亡逸失利益とは
「死亡逸失利益」とは,交通事故で死亡したことにより被害者が得られなかったが,生きていれば将来得られたであろうと考えられる所得などの経済的利益をいいます。通常は,以下の計算式により算出されます。
基礎収入額×(1-生活費控除率) ×就業可能年数に対応するライプニッツ係数 |
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは,交通事故により被害者が死亡したことにより生じた精神的損害を賠償する慰謝料です。死亡慰謝料の算定基準には,自賠責保険基準,任意保険基準,裁判・弁護士基準があります。
裁判所・弁護士(赤い本) | ||
被害者が一家の支柱である場合 |
2,800万円 | |
被害者が母親・配偶者である場合 |
2,400万円 |
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その他の場合 |
2,000万円~2,200万円 |