むち打ちと傷害慰謝料
傷害慰謝料の算定は,原則として、入通院期間を基礎として、算定基準添付の表(別表1)によるとされています。
しかし,むち打ち症で他覚症状がない場合は、慰謝料算定のための通院期間を、本来の期間を限度として、実日数の三倍程度を目安として、別表2により入通院慰謝料を決定します。これは,他覚所見のないむち打ち症の事案では、被害者本人の気質的なもの、年齢的なもの、被害者意識の強さ、賠償性神経症、年齢によるもの等加害者の責めに帰すべからざる事由により、被害者の入・通院が長引いている場合があるとの考慮によるもので,実務上,慰謝料額が比較的低くなる傾向にあります。
むち打ちと治療期間
治療期間については、保険実務では2、3か月から6か月程度の範囲で認めている例(治療の打ち切りを求めてくる例)が多いといえます。これは,他覚所見のないむち打ち症の事案では、被害者本人の気質的なもの、年齢的なもの、被害者意識の強さから治療期間が長期化する傾向にあるためとされています。しかし、2、3か月程度というのは一応の目安と考えるべきであり、実際,衝撃が強くある程度重篤なものについては、6か月ないしそれ以上の治療期間を要する場合もありますので,医師とよく相談して治療を受けて下さい。