なぜ因果関係が問題となるのか?
高齢者の場合,既往症や既存障害,事故と無関係に生じた私病などが関与して,損害額が拡大すること少なくありません。そこで,交通事故による受傷内容との損害(治療関係費,介護費用費等)との因果関係がどの範囲で認められるのかが問題となることが多くなっています。
自賠責実務
(1)自賠責実務においては,因果関係の判断が困難な場合に,損害賠償額の減額がなされることがあります。
(2)具体例
事故により重傷の東部外傷等の傷害を負った86歳女性の約1年後に肺炎と呼吸中枢の機能障害から引き起こされた呼吸不全による死亡について,事故と死亡との間に相当因果関係を認めたうえで,高齢による感染症に対する抵抗力,免疫力の低下等が寄与したものとして,死亡に関する損害の30%を減額した(神戸地判平成8年5月23日) |