後遺障害とは
後遺障害とは、治療を継続してもこれ以上症状が改善する見込みがない状態(症状固定)になったときに残った精神的・身体的毀損をいいます。
後遺障害の認定を受けるには、損害保険料算出機構による等級認定を受ける必要があります。認定を受ける方法としては、①加害者が任意保険に入っている場合に加害者側からの照会による事前認定、②被害者による直接請求があります。事前認定によれば、加害者の保険会社から申請をしてもらえますが、その際保険会社側の意見書が添付されるので、不利に働くこともあります。
申請にあたっては、医師に自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書を作成してもらい提出する必要があります。後遺障害認定の際は、この後遺障害診断書が重要な役割を果たします。医師との面談の際は、自身の症状について十分な説明を受けて、等級表の記載事項や過去の認定事例により、診断書で強調すべき点を具体的に医師に指摘し、診断書に記載してもらうよう医師に依頼してください。
異議申立
等級認定に不服がある場合には、異議申立てをすることもできます。申立ての際には、異議申立書、医師の診断書・意見書、障害により日常生活にどのような影響が生じているのかを具体的に記載した報告書、レントゲン写真・MRI・CT等が必要になります。
なお、損害保険料算出機構の調査事務所へ直接出向いて、担当者や認定医に面会し、障害の程度について直接説明するという方法もあります。
算定方法
後遺障害逸失利益の算定方法については、通常、就労の始期が18歳であることから、症状固定時において18歳以上の者と18歳未満の者(未就労者)とで算定方法が異なります。
有職者 または 就労者 |
基礎収入額×労働能力喪失率 ×労働能力喪失期間に対応する ライプニッツ係数 |
18歳未満 の未就労者 |
基礎収入額×労働能力喪失率 ×(67歳までのライプニッツ係数 -18歳に達するまでのライプニッツ係数) |
逸失利益の算定にあたっては、減収の有無だけではなく、現在および将来の昇進・昇給等における不利益の有無、労働能力低下の程度、すなわち業務に対する支障の有無(後遺障害の部位・内容・程度と被害者の業務の具体的内容)、配置転換を余議なくされた事情等、退職・転職の可能性の有無、勤務先の規模・業績・雇用環境等、被害者の努力、日常生活の支障の有無を考慮されます。
労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、労働能力の低下の程度をいいます。
労働能力喪失率は、自動車損害賠償保障法施工令別表第2を参考にして決められます。裁判においても、上記別表によることが多いのですが、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等も考慮されます。
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間は、症状固定日から満67歳までです。未就労者の場合には原則18歳(大学卒業を前提とする場合には大学卒業時)からとなります。
高齢者の場合は、症状固定時から67歳までの年数が平均寿命の2分の1よりも短くなる場合には、平均寿命の2分の1とされます。
必ずしも一律に計算されるものではなく、期間に応じた喪失率の逓減を認める場合や、職種、地位、健康状態、能力により異なった判断がなされることもあります。
ライプニッツ係数
逸失利益が、将来の収入減収分を現在に一時金として受け取ることになるために、将来の利息分(中間利息)を差し引
くことになります。このとき中間利息控除率として用いられ
るのがライプニッツ係数です。
外国人
日本国籍を有していない外国人の場合にも、在留資格の有無にかかわらず、後遺障害逸失利益が原則として認められますが、具体的な算定にあたっては、在留資格の有無等によって算定方法等が変わってきます。外国人永住者として在留資格のある者の場合には日本人と同様に考えます。就労の内容が麻薬販売など公序良俗に反する場合には、後遺障害逸失利益は認められません。
控訴人は,就労の在留資格のない外国人であり,その逸失利益を判断するに際しては,後遺症の症状固定時から少なくとも3年間は日本国内で就労する蓋然性を認め,それ以後はインドで就労し収入を得ることができたものと認めるのが相当である【名古屋高裁平成15年9月24日】。 |
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