死亡慰謝料とは?
死亡慰謝料とは,交通事故により被害者が死亡したことにより生じた精神的損害を賠償する慰謝料です。死亡慰謝料の算定基準には,自賠責保険基準,任意保険基準,裁判・弁護士基準があります。
交通事故被害者 |
裁判基準(赤い本より) |
一家の支柱の場合 |
2.800万円 |
一家の支柱に準ずる場合 |
2.400万円 |
その他(独身の男女、子ども、幼児等) |
2.000~2.200万円 |
死産・流産した場合の慰謝料
妊娠中に交通事故被害にあい,死産・流産した場合、「死亡」とは言えないため、死亡慰謝料としては認められません。しかし、胎児の死産も母体に対する傷害として、別途,慰謝料が認められることがあります。その評価方法は一概には言えませんが、出産予定日に近いほど高額になります。
(1)事故の衝撃により妊娠2か月の胎児が死亡したとして,250万円を認めた例(大阪地判平成8年5月31日) |
(2)41歳主婦が受傷により妊娠12週未満の早期流産をしたとして,200万円を認めた例(大阪地判平成18年2月23日) |
(3)出産予定日の4日前の胎児の死亡につき母親に800万円の慰謝料を認めた例(高松高判平成4年9月17日) |
もっとも、胎児が死産した場合に、胎児の父親に慰謝料請求権が認められるかについては、実務上、肯定した事案、否定した事案とに別れております。
(1)損害は母の慰謝料によって填補できるものであって、父に固有の慰謝料を認める必要はないとした例(大阪地判平成8年5月31日) ※母に150万円の慰謝料を認めている。 |
(2)流産に伴う生理的病理的苦痛は父と母で異なるが、胎児を失ったということ自体の苦痛については父と母を区別する理由がないことは出生後の子どもを失った場合と同様であるとして、胎児の父の慰謝料を認めた例(高松高裁昭和57年6月16日) |
死亡慰謝料の増額事由
1 扶養家族の数
被扶養家族が多数の場合、慰謝料額を増額することは合理的であると考えられています。何人以上が多数といえるか、明確な基準はありませんが、標準的な家庭の人数である4人を超える場合には、慰謝料増額を認めるべきとの考えもあります。
2 加害者側の事情
慰謝料は損害の填補を目的とするものなので、加害者側の悪性事情が存在しても、慰謝料の額には影響を及ぼさないと考えられます。しかし、実務上、加害者の悪性事情を考慮して、慰謝料の増額を認めた事案もあります。加害者の悪性事情としては、以下のようなものがあります。
①飲酒運転等、事故発生について加害者の故意・過失の種類が悪質であり、程度が大きい場合
②救護・報告義務違反など、事故発生直後の加害者の態度に基づく損害の拡大
③刑事裁判における虚偽証言など、加害者の不誠意等
もっとも、事故後に被害者にお見舞い行かなかった、示談交渉を全て保険会社に任せていたという程度では、慰謝料増額事由とはいえないことが多いでしょう。
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